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俺は嬉しさのあまり立ち上がった。
「あっ、あの!俺、あれからいろいろ調べて、気づいたら植物にすごく興味が湧いて!」
「まぁ、そうなの?」
「と、特にヘチマにはなんか愛着わいてしまって、今では家でも育てているんです!」
「本当に?嬉しいな。そう言ってもらえて」
そう言って、彼女はヘチマの方を見つめた。
「…あんまりみんな見てくれないんだ。そんなに美味しく食べられるものでもないし、派手でもないし、秋になると茶色くなっちゃうから…」
「た、確かにそうですけど…」
彼女は俺の言葉を聞いて、少し暗い顔をしていたのがさらにしょんぼり顔になってしまった。
それにしても、なんでここまでヘチマに肩入れしているのだろう…?
俺以上にヘチマに思い入れがあるのだろうか…?
「で、でも!」
俺は大きな声をあげた。
「俺は、あれからヘチマ、好きになりましたから!」
「え?」
「貴女に出会ってから…その…」
その先の言葉が思いつかずに、もごもごと俺は言葉を濁してしまった。
「…ありがとう」
でも、彼女は俺の気持ちをわかってくれたのか、しょんぼりしていた表情が温かい笑顔になった。
「そう言ってくれるだけで、私、嬉しい」
笑う顔が、優しくて。
もう、我慢できない、と思った。
想いを伝えたい…!
「あ、あの俺!…好きです!」
「うん。さっきも言ってくれたよね」
「違います!あ、…貴女のことが、好きなんです!出会ってから、ずっと…」
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