episode163 迷い猫の行方 ①

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episode163 迷い猫の行方 ①

「いやあ、助かったよ」 「助けた覚えはない」 「それでも君が衣装持ちで」 「言っておくが同じ物を買って返せよ?裏切り者が袖を通したシャツなんか着れたもんじゃないからな」 唯一韓国語が堪能だという理由で 嬲り殺しにされなかったものの――。 「これだけ探しても見つからないなんて……」 「もしものことがあったら漢江に沈めてやる」 「僕がね」 バッグミラー越し。 (うっ……) 運転席からも助手席からも感じる ただならぬ殺気。 着心地のいい高級ブランドのシャツに袖を通しても。 生きた心地がしない。
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