冬子ちゃん

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冬子ちゃん

教室の戸を開けたら、そこには理恵がいた。 理恵はCクラスの学級委員。 宿題を忘れた事を思い出して取りにきたから、クラスのみんなは下校していて誰もいないと思っていた。 理恵がいて、ほっとした。 理恵はいつもは私と目が合ったら、笑顔で挨拶をしてくれるのに、私の顔を見て複雑な表情になった。 理恵のいつもと違う反応に、私も挨拶を忘れて、理恵をじっと見つめてしまう。 「美沙、ごめんね。 こんな時間に学校に戻ってくるあなたがいけないのよ」 理恵は何を言ってるの? 私は宿題のプリントを取りに来ただけなのに。 「美沙、ごめんね。 ごめんね。 タッチ!」 理恵は、私の身体にタッチしてから、逃げるように帰っていった。 理恵はどうして謝ったの? 不安が心の中に渦巻いた。
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