冬子ちゃん

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早く教室を出なくてはいけない気がする。 教室の空気も、いつもと違って冷たいくなっている気がするから。 私は自分の机に向かい、さっと宿題のブリントを取り出すとドアに向かって歩いた。 正確にいうと、歩き始めたつもりだった。 前に進もうと、足を一歩一歩動かしているはずなのに、身体は動いてないのだから。 「今度は美沙ちゃん?」 私を呼んだのは誰? 私は怖々辺りを見回した。 誰もいないはずなのに、隣に誰かの気配を感じる。 「私と遊んで。 誰かが教室に来たら、タッチして代わってもいいから」 誰? 見えない相手と遊ぶ事なんて出来る訳がない。 「私、家に帰らなくっちゃ。 お母さんが夕食を作って待ってるの」
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