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「じーさんよく聴いてくれ!
オレは何もしていない。分かるよね?」
「ゆうやは優しい子じゃ、わかるぞ」
「分ったならオレの指示に従ってよ?
とりあえず、ピンポーンってなって
『警察ですけど、高須裕也さんいますか?』
って聞かれたら
『昨日から社員旅行でブラジルに行きました』
って言ってほしい。
コレで警察が引けば結果オーライ。
何でブラジルかってゆーのは、
単に地球の反対だから、
そこまで追っては来ないだろうってゆー奴ね!
まあ、そんなウソは直ぐにバレると思うけど
コレは目くらましに過ぎないから
バレても気にすることはない。
大事なのは次に、
『お宅に高須裕也がいることは分かってるんだ!
高須裕也はどこにいる?二階か?
お家に上がらせろー!』
って言われた時だ。
いい?じーさん!
ここから本当に大事だから一語一句間違えずに
感情込めて言ってね?
『ゆうやは…ワシの胸の中じゃ……あんたらが…あんたらがワシの孫をここまで追い込んだからこんなことになったんじゃろーがっ!!ワシの孫を返せこのやろー!!』
………この迫真の演技に圧倒された警察は
そのじーさんの言動から
自分たちが、軽度な人身事故にも関わらず
何十人もの警察を従え包囲し圧を掛けたことにより
高須裕也が自らその命を絶ったことを悟り
一斉に引いて行くのでした。ってなワケです。
わかった?理解出来た?台詞覚えた?」
「ゆうや、おまえ、命をっ!」
「コレはウソだよ!
じーはんはウソを本当のように話すの、
だから大事って言ったろ?」
「ワシにそんなこと…」
「人間、出来ないって思ったら
そこで成長は止まってしまうんだ、
オレにカッコイイ姿見せてくれよ…」
「わ、分かった!やってみよう」
この迫真の演技に
警察が引いたら終わり……
……………………ではない。
そんなウソいずれバレる。
コレはこれから何年と続いて行く
警察と高須裕也の鬼ごっこの始まり、
序章に過ぎなかったのだ…。
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