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リサイクルショップ
リサイクルショップでバイトをしている。
最初は勝手が判らず戸惑うことばかりだったが、慣れてくると、かなり楽しくやりがいのある仕事だと思えようになった。
さすがに買取査定はできないけれど、日に幾つもの品を見るから、なんとなく物の良し悪しが判るようにもなってきた。
あれは結構いい品だ。あっちは二束三文だな。そんなふうに、持ち込まれる品の一つ一つに自分なりの判定をそっとつけているのだが、時々、理由は判らないけれど『それは買い取らない方がいいんじゃ…』と思う品があると気づいた。
それらの総ては、一見して何の変哲もない家電や雑貨だ。むしろ使い込まれた印象の少ない美品だと思う。
でも、曲が持ち込んだ品を見るたびに、表現しがたい嫌な感覚が湧くんだ。
だけど店長も先輩方も、そんなことは感じないみたいで、当たり前のようにそれらを買い取る。だから俺も、あえて何も言わずにいたんだけれど、そういう品が持ち込まれるたびに『あれ?』と思うことが増えていった。
ウチはリサイクルショップだから、当然、買い取った物は掃除したり、時には多少の修理をして店頭に並べている。
でも不思議なことに、俺が不快感を感じた品は、一つとして店に置かれていないんだ。
同業同士、他の店に品を流すこともあるけれど、基本的には、買い取った品は自店で売るものだ。あの数をどこかに流してしまうなんてありえない。
その疑問が日々膨らんで、ついに俺は店長に、買い取る際に不快感を感じた品が多々あることと、それらが一つも店に並ばないのはどういう理由なのかを聞いてみた。
すると、俺がその話を口らするなり、店長はにっこり笑って、
「やっぱり君には判ったか。見どころがあると最初から思っていたんだ」
そう口走り、俺を店の一番奥にある、店長以外立ち入り禁止の倉庫の前まで連れて来た。
ぞわり。
凄まじい悪寒が全身を駆け抜け、俺は店長の顔を見据えた。
倉庫の扉越しに、言い現しがたいおぞましい気配が伝わってくる。
この、寒気がして胃の奥がムカついてじりじり冷たい汗が噴き出てくるような感覚は、もしかして…。
「店長。この倉庫の中身って…」
「お察しの通り。君が買い取らない方がいいんじゃないかって思った品」
いつも通りのあっさりした口調でそう言うと、店長は、自分がこのリサイクルショップを立ち上げた経緯を語ってくれた。
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