第九章 scar

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「…待って。 でも、貴方が去ると聞くと、心が裂けそうです」  別の意味で、再び上原が倒れたが、 政宗の服を掴んで離さなかった。  そういえば、 幼い頃も政宗の服を掴んで離さない弟であった。  再び上原が目を覚ますと、今度は少し長持ちしていた。 「夕食を一緒にどうですか?」 「…倒れながら?」  思い出さなくても、いい。 生きていると分かったので、 生活できていると知ったので、 政宗はそれで良かった。 「それでは、俺の家に招待します。 犬と、医者の彼女が同居しています」  それに、頭痛が凄いので送ってゆけと言う。 確かに、歩くのもままならない状態であった。
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