第九章 scar

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 姉が忙しいので、 上原の面倒を頼まれたのだそうだ。 この上原、研究以外は何もできない人間らしい。 少女が甲斐甲斐しく、上原の上着を脱がせ、 リビングへと運ぼうとしていた。  上原が重いのか、 少女が引っ張って移動させているが、進みは遅かった。 仕方なく、政宗が手を貸し、リビングへと運んでいた。 次に、夕食と言っているが、 少女の手付きが危なかった。 包丁で指を切るレベルではなく、 冷蔵庫も切り殺しそうであった。 「……代わるよ」  類は友を呼んだのかもしれない。 食事が出来上がる頃には、 上原と少女が並んでテーブルで待っていた。
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