第十章 66.6

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「分かり易いな…」  見張りを茶屋町が倒していた。 電子ロックは政宗が解除する。  部屋の中には、 座り込んでいる十人程度の人影が見えた。 「避難してください。戦闘が始まりそうです」  天然体は動こうとはしなかった。 「皆、眠らされている。 もしかしたら、毒なのかもしれない」  上原の声がした。 政宗が走り寄ろうとすると、後ろから地球軍の兵士が、 銃で殴りかかってきた。 政宗が銃を蹴り上げると、今度はナイフを取り出した。 「うわあああああ」  あの日と同じ光景であった。 上原の口から、悲鳴が聞こえていた。  弟を庇う兄の頭上から、ナイフが振り落とされた。 上原の手は、胸は、飛び散る血に染まった。 兄は、死んだのだ。 自分を庇って死んだのだ。 どこまでも、責める声が聞こえていた。
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