不純物循環

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 一個訊きたい。なに、大層な事じゃないさ。誰でもわかることだ。  お前は、どうして生きている? 1。  そんな声を最近良く聞くようになってきた。聞くとはいっても夢の中でだけど。誰かが僕の部屋の片隅で僕に向かって問いかける。夢の中で僕は決まって机に向かっていて、無意識に、しかしはっきりと聞いている。僕がそちらに意識を向けようとすると目が覚めるのだ。  お前は、どうして生きている?  そんなこと訊かれても答えられるわけない。人間誰でも一つは解けない謎があるはずだ。僕にとってのこれがそれ。きっと、僕自身わからないから夢の中で問いかけてくるんだろう。  まぁ答えなくても別にどうってことないから僕はいつも通りに学校へ向かう。 2。  学校の授業は退屈でよく寝てしまうのだけど、そういう時はあの夢を見ない。どうやらしっかり寝れる場所じゃないとあの問いは浮かんでこないみたいで、僕はそれをさして重要視していなかった。  隣の席の子が先生に当てられる。この数式は苦手だな。僕が当てられたらきっと答えられないだろう。隣の子は頭がいい。要領も良く、さっさと問題を解いてしまう。僕の使命はその書き出された数式をただひたすらに書き写すことだけだった。 3。  帰り道に気付いたことがある。ある一定の時間だけ僕の思考が停止する。なんだか最近時間が飛んでるように思うのだけど、多分それはきっと思考が停止していたからなんだ。今日は十分ほど飛んでいた。  ただボーっとしているのとはまた違う。完全に記憶がない。だからこそ今になって気づいた。  学校から家までは五分ぐらいなのだが、今日は教室から出た瞬間に僕は自分の部屋の隅に座ってた。教室を出た時間から(今日は偶然時計を見ていて)僕が気付いた時間がほぼ十分だった。  今までは昼休みとか授業の間とかだったな、と思い返して思い出す。お陰で僕にはポツポツと習った覚えのないところがある。  僕はふと、夢に出てきて僕に問いを投げかけてくる何かに問いを投げてみることにした。  一個訊きたい。なに、大層な事じゃないさ。君ならわかることだ。  僕の思考が停止してる時間、僕はどうしてる?
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