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一歩踏み出すまでも無く僕の将来は固定され溶接されて、決定付けられた。
「お前ならきっと俺より」なんて言葉、欲しくない。
父親が歩もうとして挫折した夢。それと僕の望む将来とでは、天と地、月とスッポン、白と黒ほどの違いがある。
片や作家、片や教師。
僕が望んだ聖職は、文字の重圧に負けてしまうようだ。
才能って物があるじゃん。
天稟って物があるじゃん。
でもそれは目に見えない。
血を引き継いだからって目が良くなるとでも?
代を重ねたから才能が濃くなったとでも?
なんだよそれ。なんだよ。それなんだよ、そこなんだよ。
父親は……いいや言い切ってしまおう。『僕以外』は間違っているんだ。
親族全員に縮めてもいいや。とりあえず間違ってる。
皆父親のどこに信用を置いているのかわからないけど、産み落とされた僕にまでそれを背負わせるのはいささか間違いじゃないの。
それのせいで僕の宿命と僕の願いは日々諍いが絶えないよ。
僕に作家の才能はないよ。
僕に作家としての天稟はないよ。
でもそれは目に見えない。
当事者である僕にしかそれがわからない。
なんだよこれ。なんだよ。これなんだよ。ここなんだよ。
僕に無いものがあるって伝えられないからこんなにズルズルズルズル・・・
目に見えるものしか信じないって言うけど、見えな過ぎるものは逆に信じてしまうものなのかもね。
教壇に立って、色々なことを教えたい。
教壇の立場から、若い心を教わりたい。
まぁ、現時点じゃかなわぬ夢ですが。
路線変更しようにも、分岐点すらないからね僕には。
あったはずの分岐点は期待で見事にペーストされてさ。
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