グラスのワイン

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最近、パパとママがケンカばかりしている。 僕が知らないと思ってるんだろうか? 夜中になってパパが帰ってくると、しばらしてからケンカが始まる。 それを僕は、ベッドの中で頭から布団をかぶってじっと聞いているんだ。 ママの様子がおかしいのは、僕も気が付いてた。 なんだかボーっとしたり、急にイライラして怒り始めたり。 ご飯も作れなくなる事が増えて、コンビニのお弁当で済ませることも多くなった。 だからパパが「今日も食事の支度をしてないのか!」と怒るんだ。 食べたお皿も流しに置きっぱなしになってる事が増えたし、話しかけても「ああ」とか「そうね」とか、気のない返事をくれるだけだ。 そんな日が続くにつれて、パパもどんどん機嫌が悪くなっていったんだ。 夜中に僕がトイレに起きたら、リビングで1人、ものすごく疲れた顔をしてパパがワインを飲んでいた。 「パパ、お帰りなさい」 目をこすりながらパパに声をかけたら、パパは僕の顔を見て大きくため息をついた。 「ああ、信弘か。なんだ、こんな夜中に?」 「トイレだよ。パパ、大丈夫?」 「ん? 子供は心配しなくていいから、早く寝なさい」 そう言って眼鏡をはずすと、まぶたの上から目をもんだ。 もしかしたら、パパとママは離婚しちゃうのかもしれない。 僕はずっとそんな事を心配していたんだ。 だけど僕には何の力もなくて。 ママはどんどん様子がおかしくなっていって。 パパもどんどん疲れていって。 そんな2人の姿を見ながら僕は心の中で心配する事しか出来なかった。
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