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『そんなの関係ねーよ。あいつ、俺が観たいって言えば文句いわずに使わせてくれるし。行くと、新しいテレビカード買って置いてあるんだぜ。どんだけ俺の事待ってんだよって感じ』
君が喜んでくれると思って。
少しでも君と楽しい時間を過したくて。
なのに、君はそんな風に考えていたんだね。
テレビの中の友人は、残酷な告白を聞かせる。
『いいよなぁ、体が弱いって言うだけで学校来なくてすむんだぜ。テストもしなくていいし、めんどうな掃除とかやらなくていいしな。マラソン大会とかだって見学してていいんだし』
『あー、親に勉強しなさいとか言われなくてもいいってうらやましいよな』
『宿題もないしさ』
『俺も体弱いとかって入院してーよ。寝てればいいんだしな』
なんて勝手な事を言うんだ!
僕は好きで体が弱く生まれたわけじゃない。
みんなと同じように学校に行って、勉強して、遠足にも行きたかった。
運動会でみんなと同じように思いきり走って、踊って、楽しみたかった。
好きな時に友達とおしゃべりをして、公園で遊んで。
院内学級で勉強はできたけど、やっぱり学校に行って先生と話をしたりテストの答え合わせをしたりしたかった。
この生活がどれだけ味気ないか、どれだけつまらないか。
少年はこれまで自分の中で大事にしていた友人との時間を、すべて裏切られたような気がして悔しかった。
友人と過ごす時間は、少年の中で宝石のように大切なものだったのに。
それをこんな形で踏みにじられるなんて。
こんなの神様からの贈り物じゃない!
僕の命が消えかかっている今、こんなものを見せるなんて!
その怒りは簡単に友人への怒りにすり変わる。
親友だと思っていたのに!
ずっと僕の事をだましていたのか!
そんな事を思いながら、友達のふりをして!
本当はずっと僕の事を馬鹿にしていたのか!
悔しい! 悔しい! 悔しい!
僕の命は終わってしまうのに!
君なんかより、僕の方がずっとずっと学校に行きたかった!
生きていたかったのに!
もっと勉強したかった!
もっと走り回りたかった!
宿題だってテストだって、生きているからできるんだろう!?
君達は生きているのに、なにがそんなに不満なんだ!
寝ているだけで楽だって?
じゃあ、君が変わってくれよ。
これがどんなに苦しいか、君が僕の代わりに経験してくれ。
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