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やがて言葉が詰まり、俯いてしまった。 「いいと思うよ」 なにか声をかけるべきだと考え、その結果でた言葉がそれだった。 慰めではなく、率直な感想だった。 「え?」 彼女が顔を上げる。驚いたことに、もはや泣く直前だった。その大きな右目が潤んでいる。 左目はわからない。眼帯が隠しているから。 「何て言えばわからないけれど、僕はその考え方、好きだな」 捲られたページには『死にたい』ではなく、表紙の題名通り、彼女の思想が書かれていた。 あのページとは全く異なって、丁寧な字で記されていた。 彼女は『死』が愛おしくて仕方ないらしい。 読んでいてイタくなるような文章ではあったけれど、それでもなんとなく共感できる部分があった。 それは、かつて僕が自殺志願者だったからかもしれない。
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