3554人が本棚に入れています
本棚に追加
放課後。
秕に言われた通り、校門の前で待っていた。
誰かを待つというのが久しぶりで、いつぶりかなと記憶を探っていると、中学以来だと気がついた。
遠吹楓で付き合っていた頃以来だ。
あれを付き合っていたと言っていいのかわからないけれど。
黒歴史に近いそれを思い出し、少しだけブルーな気分になる。
下校する生徒の集団を眺めてること十五分。
ようやく秕が現れた。
「ごめんごめん。結構みんなしつこくて」
自慢なのか、それとも親友ゼロの僕に対する皮肉なのか。
彼女がそのまま歩き出したので、僕も彼女の隣を歩く。
「本当やだよね。全然諦めてくれないの。予定あるって言ってるのにさ」
不満を呟く彼女は、明らかに不機嫌だった。
最初のコメントを投稿しよう!