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そういうものなのかなぁ、と秕は不服そうな顔で呟いた。 「でもさ、なんかいいかもね。秘密の関係みたいなこの感じ。みんなに内緒で付き合ってるみたいでさ」 「そう言えば」 丁度、話が僕のしたい話の方向へずれたので聞いてみる。 「なんで昨日キスしたの?」 「ふぇ?」 彼女が間抜けな声を上げる。 隣を見ると、秕の顔が赤くなっていた。 「え。えーっと。それは、ね。ほら、ノリ? みたいな?」 あたふたと空中で手を振る秕。 なんだか子供みたいで可愛らしかった。 「ノリでキスするの?」 「ちっ、ちがうよ! 全然違う!」 今さっき彼女が言った言葉なのに何故か全否定された。別に、ノリでするならそれで構わないのだけれど。 世間一般的にどうかなんてわからないし、この時代、納得しないでもない。
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