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否定することなどなにもない。若干誤解はあるものの、おおよそ正解だ。
それで遠吹楓とは別れたわけだけれど。
「さらっと見下されたっ」
「見下してないって……」
僕は生まれてこの方、一度だって人を見下せる立場になったことがない。
いつだって見下される側だ。今も変わらない。
「まさかカナメがそんな大人だったなんて……はっ、まさか私に近づいてきたのも身体目当て……」
「それはない。絶対ないから大丈夫」
「本当容赦ないね、カナメって……」
そんなたわいもない話をしながら、歩き続ける。
彼女の言う通り、僕を連れていきたい場所はそこそこ遠いらしい。
「見えてきたよ」
彼女がそう言ったのは、学校から出発して四十分ほど経ったときだった。
長距離歩いた所為で、僕も秕も軽く汗をかいていた。
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