第1章

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焦る気持ちで地面を探った。 探し物は、今朝落としたらしい本。 そしてそれは以外なところから見つかった。 「・・・あのー・・・」 それは見知らぬ女の子。俺の本を持って木製のベンチから立ち上がる。 「これ、もしかして?」 彼女は本を差し出して。 「あ、うん」 「はい、どうぞ」 素っ気なく本を渡され、そそくさと俺に背を向けた。 「あ、あのっ!」 「・・・?」 咄嗟に、呼び止めてしまった。 「・・・ありがとう」 「どういたしまして」 そうじゃなくて・・・。 「あのっ!」 今度はその手を掴んでしまう。 「こ、この本貸しますか?学校、同じみたいだし・・・」 彼女の制服を指差した。 「・・・」 彼女が黙る。 「・・・すいません。迷惑、でしたよね・・・」 「いいの?」 「はい・・・?」 「借りていいの?その本」 「あっ、はいっ!!」 「ありがとう」 彼女の笑顔や帰り道。次会う理由は俺の全てを輝かせた。
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