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雪嶋さんは笑顔でおっさんの言葉を一刀両断にした。
「あっはっは。それは駄目ですよ。べつに賭け事をするなとは言いませんが度を越した賭け事を見つけた場合は容赦しない主義なので。夏野菜をくれなきゃ問答無用で逮捕しますよ?」
おい、河童。度を越した賭け事ってなんだ!! 犯罪の匂いがすんだけど!? てか、あの温厚な雪嶋さんの目が笑ってないんですけど!?
危険を感じたのか、おっさんは震え声で庭に生えているトマトやナス、きゅうりなどの夏野菜を雪嶋さんに渡しながら答えた。
「と言うんは冗談や。ちゃ~んと、夏野菜だけやのうて魚も秘伝の薬もあげるに決まってるやないか~」
すると、雪嶋さんはいつもの表情になり、カラカラと答えながら夏野菜を受け取った。
「あっはは、冗談ですよ。そんなことで逮捕なんてしませんから。夏野菜ありがとうございます!」
「めっちゃくっちゃ、ご近所付き合いが良好ってどういうことだ! 近所のみんな知ってんの!? 知らなかったの俺達だけ!?」
俺の突っ込みに渡辺のおじいちゃんと雪嶋さんはそれぞれのんきに話した。
「おっ、シュンちゃん達、カワタロウさんちに遊びに来てたのかい? やっと会えたんだねえ。なにせ、学校にいる間はギャンブルか釣りに行っているからねえ、びっくりしたろう?」
「ああ、本当に驚いたよ。存在していたこともだけど、この場に溶け込んでいることもね!?」
俺の発言に雪嶋さんは懐かしむような目で俺達に爆弾発言を投下した。
「僕もこの町に来たばかりの頃にカワタロウさんに出会った時は度肝を抜きましたしね。しかも、カワタロウさんだけじゃなく、他の妖怪もたくさん住民として暮らしていることも知ったときも二度驚きましたよ」
「はあ!?」
俺が思わず叫ぶと、問題児三人は叫びはしなかったが目を見開いていた。更に 渡辺のおじいちゃんは俺にもっとも衝撃的な発言をした。
「あれま? りっちゃん達はともかく。シュンちゃんは知らなかったのかい? シュンちゃんのおばあさんのフミさんがおキツネさまなんじゃがのう?」
「え? ええぇぇええぇえ!! ちょ、ちょっと待って!? き、キツネ!? ウソだろ!!」
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