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小憎らしい顔をする河童に腹ただせていると、どこからかピーピーとお湯が沸いた音がなった。
「あっ、カワタロウさん! やかんが鳴ってるよ~。これで人魚さんが甦れるね~」
お湯で戻すってインスタントか!
「おお、やっと沸いたかあ。ミイラのお嬢ちゃん、ちょっとそこの鍋にわしの友達を入れてといてや。ちょっくら、お湯を持ってくるさかい」
そう言っておっさんはすぐにやかんを取りに行き、麻美が鍋に人魚のミイラを入れた。そして、おっさんは勢いよくミイラに熱湯をかけた。
「ふう。やっと、生きた人魚が拝めるな」
「待ちくたびれたわ」
「楽しみだね~」
キラキラとした目で思い思いに言う三人に俺は半信半疑に声をかける。
「いやいや、こんなんで人魚が甦るわけが――」
「ぷっはあ~。ようやく生き返ったよーー」
本当に甦った。ムクムクと膨れ上がったその姿は絵本で出てくる人魚そのものだった。すると、おっさんは、鍋の中に人参や大根、ゴボウ、しいたけといった具材を何の躊躇もなく入れやがった。
「うおおい!! 何してんだ、おっさん!!」
俺が驚いて叫ぶと、おっさんは涎を垂らしながら平然と答えた。
「なにって、今夜の夕食やよ。坊主達も腹減ってるやろ? 喰うか?」
お前、人魚のこと友達って言ってなかったか!? 完全に食料として見てるだろ! つうか――。
「喰えるか!!」
「え! いいんですか? ちょうどお腹が減ってたんだ。お言葉に甘えて頂きます!」
「あら、気が利くわね」
「私も食べる~」
「喰うんかい!」
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