第1章

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 人魚の回想が終わったところでます、突っ込んでいいか?  おっさんの所為じゃねえか! おっさん、屑すぎるだろ!!   なにしてんだよ! 早く助けに行けよ、おっさん絶対忘れてただろ!!  人魚はにこやかな顔つきでおっさんに向けて尋ねた。 「もう幾度、待てども、待てども、カワタロウさんが来てくれないので、もしや、忘れて賭博や酒におぼれているんじゃないかとか、そもそも裏切るつもりだったんじゃないかと思ってました。それは杞憂でよかったです」  人魚の言葉におっさんは目を彷徨わせながら、苦しい言い訳を始めた。 「いや~。あ、当たり前やないか。わしが大事な金づ……友達を売った金でさらに賭博や酒に手を出したりしいひんよ! ホンマよ! 全然忘れとったりしてへんからな! ほら、わしの夏野菜喰ってみい、うまいで!」  完全に黒じゃねえか!! そんなんでごまかせると思ってんのか! 「ああ、おいしい!」  って誤魔化されてるし!? それでいいのか人魚!?  ふと、麻美(まみ)が首を傾げながら人魚に尋ねた。 「あれ、人魚さんってあの湖に住んでたんだよね~?」 「はい、そうですよ。それが何か?」 「たしか、工事で湖が埋め立てられる予定になっていて、あそこにテーマパークが建っちゃうから、人魚さんのお家が無いよ?」 「ええ!? そんな!」  これには、俺も目を丸くしたが、約一名、びくついたのを俺は見逃さなかった。 「おい、おっさん。まさか、アンタが売ったんじゃねえよな?」  すると、おっさんは白状した。 「すまんかった!! わしにはどうすることも出来んかったんや!? 町長の権力に逆らえなかったわしを許してくれ! 決して欲に眩んで売ったわけやないで! ホンマに!」  寝言はその左手に隠した目薬を出してから言え。
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