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人魚の回想が終わったところでます、突っ込んでいいか?
おっさんの所為じゃねえか! おっさん、屑すぎるだろ!!
なにしてんだよ! 早く助けに行けよ、おっさん絶対忘れてただろ!!
人魚はにこやかな顔つきでおっさんに向けて尋ねた。
「もう幾度、待てども、待てども、カワタロウさんが来てくれないので、もしや、忘れて賭博や酒におぼれているんじゃないかとか、そもそも裏切るつもりだったんじゃないかと思ってました。それは杞憂でよかったです」
人魚の言葉におっさんは目を彷徨わせながら、苦しい言い訳を始めた。
「いや~。あ、当たり前やないか。わしが大事な金づ……友達を売った金でさらに賭博や酒に手を出したりしいひんよ! ホンマよ! 全然忘れとったりしてへんからな! ほら、わしの夏野菜喰ってみい、うまいで!」
完全に黒じゃねえか!! そんなんでごまかせると思ってんのか!
「ああ、おいしい!」
って誤魔化されてるし!? それでいいのか人魚!?
ふと、麻美(まみ)が首を傾げながら人魚に尋ねた。
「あれ、人魚さんってあの湖に住んでたんだよね~?」
「はい、そうですよ。それが何か?」
「たしか、工事で湖が埋め立てられる予定になっていて、あそこにテーマパークが建っちゃうから、人魚さんのお家が無いよ?」
「ええ!? そんな!」
これには、俺も目を丸くしたが、約一名、びくついたのを俺は見逃さなかった。
「おい、おっさん。まさか、アンタが売ったんじゃねえよな?」
すると、おっさんは白状した。
「すまんかった!! わしにはどうすることも出来んかったんや!? 町長の権力に逆らえなかったわしを許してくれ! 決して欲に眩んで売ったわけやないで! ホンマに!」
寝言はその左手に隠した目薬を出してから言え。
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