第1章

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 桜咲く季節が過ぎ去り、ジメッとした暑い初夏に変わる頃、俺の幼馴染その1、綾瀬(あやせ) 千(せん)が声を高らかに言う。 「我ら、オカルト探偵部設立を祝して第一回都市伝説探索企画を開催するわ! みんな面白い都市伝説は持ってきた?」 「ふふ、もちろんですよ~。部長」 「当然だろ! 僕のとっておきをお見舞いさせてやるよ」  お手製のミイラの髪飾りを付けた幼馴染その2の副部長の木乃(きの) 麻美(まみ)とテンションの高いメガネの幼馴染その3の広瀬(ひろせ) 理人(りひと)が目を輝かせながら言うなか、俺は冷めた目で言った。 「出来上がったばっかなのに、いつの間にそんな企画立てたんだ? 俺、初耳なんだけど」  俺の発言に幼馴染達は揃って目を丸くした。 「えっ!? ハルくん、都市伝説をリサーチしなかったの?」 「御門(みかど)くん、オカ探部部員ともあろうものが初日でやってこないとはどういう了見なの?」 「やれやれ、春(しゅん)。キミは一体何のために入ったんだい?」 「お前らトリプル災害を止める為に決まってんだろ」  麻美の驚く声と千と理人が呆れながら言った言葉に俺が辛辣に言い放つと各々自覚なしにふざけたことを抜かす。 「ヒド~イ」 「私達のどこが災害なのよ?」 「優等生な僕らを問題児扱いするなよ」  寝言は寝て言え、超問題児ども。教師や他の生徒に恐怖(トラウマ)を植え付けた前科のあるお前らを野放しにできるか!! 俺は氷のような目で奴らに言った。 「気に食わないって理由で藁人形を使って呪っていたオカルト馬鹿部長とミイラについて熱く語るあまりクラスメイトをミイラにしようとしたミイラ馬鹿とお手製の薬で人体実験しようとした科学馬鹿メガネのどこが問題児にならないと思ったんだ?」
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