第1章

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「えへへへ、よく出来てるでしょ~? ツタンカーメンの棺桶のレプリカ~」 「これレプリカなのか!? 本家の呪われたやつじゃなくて!? レプリカまで呪いのアイテムと化してんのはなんでだ!!」 「そんなことより、人魚の説明をしてくれよ」 「どういう経緯で手に入れたの?」  おい、ゴラ、無視か。俺の突っ込みに問題児どもはスルーし、千と理人は麻美に人魚のミイラの説明を促した。  麻美(まみ)はにこにこと取り出した人魚のミイラについて説明し始める。 「じつはこのミイラ、いろんな人から転々と渡ってきたもので~、わたしのおじいちゃんから貰ったものなんだ~。しかもビックリしたことになんと~、あの一度入ったら二度と出て来れない迷い森の湖に住んでいた人魚のミイラなんだよ~!」  一度入ったら出られないというが、あそこ普通に地元民が出入りしてるけど!? 全然、『迷い』の森じゃあないという突っ込みはなしでいいか? 所詮は作り話だし。  嬉々として言う麻美に千と理人も驚きの声を上げる。 「なんだって!」 「それは本当なの?」 「うん、本当だよ~。毎夜この人魚ちゃんがお家に帰りたいってすすり泣いてるから~」 「それもう、都市伝説じゃなくて怪談じゃねえか!!」 またしても俺の突っ込みをスルーして千が部長権限で宣言した。 「毎夜、すすり泣く人魚のミイラ……。いいじゃない。面白そうだし、その人魚さんも帰りたがってるわけだし。良し、記念すべき第一回の探索は木乃さんの『迷い森の人魚』に決定するわ! さっそく全員で今から迷いの森に出発するわよ!」 「「オー!!」」 「今からかよ!?」  こうして俺達というか、俺は強制的に参加させられて行くことになった。
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