第1章

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 そしていま、迷いの森に入って一時間が経っているんだが、例の湖とやらがまだ見つからず苦戦していた。 「おい、もういい加減帰ろうぜ。何時間探すつもりなんだよ! 随分昔に干上がったんじゃねえの?」  俺が呆れながらアホ三人組に帰るように呼びかけたが――。 「御門くん、だらしがないわよ! あと、二、三時間探しなさい」 「そうだぞ、春(しゅん)。諦めるのはまだ早いぞ!」 「ハルくん、早く人魚さんのお家を探さないとかわいそうだよ!」  予想してたが、聞く耳を持つ気はないようだ。つうか、俺がここまで付き合う義理なくね? このまま帰るか。  俺は踵を返して帰ろうとした瞬間――。俺の真横を鋭利なものが飛んできた。 「うわぁ!!」  驚いて振り返ると、大きく振りかぶった格好をした千がいた。手には第二陣の鋭利な石を持っていた。 「て、てめぇ、なにしやがる!! 危ねえじゃねえか! 頬が切れたぞ! 殺す気か!?」 「ととっと帰ろうとした君が悪いのよ。ここに私の人形がないから仕方なく鋭利な石にしたんじゃない。有難く思いなさい」 「仕方なくってなんだ!? 全然有難くもねえ!!」  大きく振りかぶって投げようとするのを避けようと一歩後ずさったが、ぬかるんだ土に足を取られて落ちた。  ドッボン――。  落ちた先がまさか探していた湖であったことを理解した。と同時に足をくじいた為か上手く泳ぐことが出来ない。  遠くから麻美(まみ)、理人、千の声が聞こえる。 息ができない……。意識が遠のいていくなか、どこからか緑色の腕が俺を抱きかかえた。俺の意識はそこで途切れてしまった。
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