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目が覚めると、そこは見知らぬ民家の天井が見えた。意識が混乱するなか起き上がると――。
「おう、目覚めたか。坊主」
目の前に河童がいた。ちょっと待ってくれ。頭を一端冷静にさせてくれ。
俺の目の前にゆるキャラの着ぐるみを着たおっさんがいるんだが、どういう状況だ!?
「あっ! ヒロくん、部長! ハルくん、目を覚ましたよ~!」
「なに、本当か! 心配したぞ、春(しゅん)」
「御門くん、無事で良かったわ。ごめんなさい、私があんなことした所為で……。やっぱり、呪いの方が効率がいいわ。あんな怪我なんてさせないもの」
次々と俺を心から心配した言葉をかけてくれて嬉しかったが、最後の言葉!!
「千、てめえ、反省の色が見えねえぞ! それは確実に息を止めてやるってことか!?」
俺が食って掛かろうとすると、着ぐるみのおっさんが止めにかかってきた。
「まあ、落ち着けや、坊主。命が助かっただけでも良かったやんけ。嬢ちゃんも、そな恐ろしいこと言っちゃあいかんよ」
「ああ、すみません。もしかして、俺を助けてくれたのってあなたですか?」
「せやで。わしにも感謝せえよ。ちなみに頬っぺたの傷もわしが治したさかい」
着ぐるみのおっさんは俺の疑問に答えてくれた。そこで俺は慌てて礼を言うのと同時にもう一つの疑問を尋ねた。
「ああ、それはどうも。あの、一つ尋ねてもいいですか?」
「ん? なんや? オッチャンに言うてみい」
「あの、なんで河童の着ぐるみを着ているんですか?」
すると、着ぐるみのおっさんは慌てて答えた。
「えっ? わし着ぐるみちゃうで! 正真正銘の河童やで!! 今は見た目がプリティーだけどもな、信じられんかもしれんけど!? 昔はめっちゃイケメン河童だったんやで!! ほんまよ!」
はあ? なに言ってんだ、このおっさん。訝しげな目をすると理人が着ぐるみの頭を引っ張りながら答えた。
「いや、これは本物の河童だよ。証拠に力を込めても頭がもげないだろ?」
「痛たったた!! も、もげる! やめんかい!!」
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