第1章

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 ものすごい音を軋ませ、首筋に血管が浮かび上がっているところを見て思わず言った。 「うお! 気持ちワル!」 「気持ち悪いとはなんや!? 無礼すぎるで坊主ども!!」  しまった……。つい率直に口に出していた。だって、マジで気持ちワルかったし……。つうか――。 「え? マジで本物?」  俺が尋ねると、おっさんは涙目になりながら答えた。 「せやから言うてるやろ? 正真正銘の河童やて! なんならここの住民票見てみるか?」  おっさんは家の引き出しから住民票を俺達に見せた。待て待て待て!! 本物の河童が存在したってだけでも現状が追い付いていないのに! てか、なんで証明表示が住民票!?  ていうか、ここに住んでんの!? 住民票、マジで登録されてたわ。 「わあ~。本当だ! 河童さんでも住民票って取れるんだね~」 のほほんと麻美(まみ)が感心する。いや、そもそも河童が住民票を持ってるっておかしいだろそこ。 「へえ~。名前が河野カワタロウなんて、昔話に出てくる河童にありふれた名前ね」  千はあまり興味なさげに棒読みで答える。たしかに昔話でカワタロウって出てくるけれども!? 目の前に本物がいてそんなうすいリアクションてあるか普通。どんだけ興味がねえんだよ! 「逆になんで気付かなかったんだろうね。まさか、僕らの通う学校の目先の家に河童が住んでいたなんてね。空き家だと思っていたよ」  確かに理人の言う通りなんで気付かなかったんだ? てか、ここあの空き家なの!? マジか。 「ん。そりゃあ、わしが町中で釣り仲間と釣りに行ったり、パチンコに競馬にカジノに行っているからな。出かけっぱなしやさかい、うちを留守にしてることが多いしな~。鍵しめしんとかずにおるわな!」  おい。いま町中って言ったか? えっ? まさか堂々と姿を現しているのか!? しかも後半ギャンブルしかしてねえ!
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