廃線のトンネル

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ケンはその翌日、ヒロシがこっそり教えてくれたあの秘密の釣り場の池を訪れていた。そして、ケンは池のほとりの森で、ヒロシの釣竿と帽子を見つけた。ケンは警察に通報した。思ったとおり警察の捜索で池の中からヒロシの水死体が見つかった。もうだいぶ時間が経っていて、ヒロシの体はほぼ溶けていて骨になっていた。 「ここは、危ないから。近づいちゃだめだよ?」 ケンは警察の人に言われて初めて気付いた。 そっか、ヒロシは俺をここに近づけないために、二度と来るなと言ったのか。 数日後、あれが夢なのかを確かめたくて、ケンはあのトンネルの前に立った。 やはり夢だったのかな。あの変な外国人は誰だったんだろう? あの時のように、コンクリートで固められたトンネルの入り口に触れてみた。冷たいコンクリートの感触しか手のひらには伝わってこなかった。 振り向けば海岸沿いの国道、すぐ側にバス停があり、そのベンチに誰かが腰掛けていた。かなり背が高い男だ。その男が振り向いた。外国人だ。白いTシャツの胸には、トマソンと書いてあり、こちらを見てニヤリと不敵に笑った。
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