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その言葉に語弊があるのなら、慰めと言い換えてもいい。とにかく、捜査がしたい。
「それでは……頼みましたよ?」
車が着いたのは、どこにでもありそうな二階建ての一軒家だった。猫の額ほどの庭には既に一台の軽自動車が停まっており、その脇に杉元が車を着ける。
「任せとけよ」車を下りた三國は悪戯っぽく笑って頷きながら、鍵を出して玄関のドアを開けた。「親父さん、お帰りなさい! 土産話を聞きに来ましたよ!」
「おー、健次郎か! 待ってたぞ!」
嬉しそうな父親の声が家の奥から聞こえてくる。
とりあえず今日は乗り切れそうだと、杉元は安堵のため息をついた。
その日の夜。
飲み過ぎて帰れなくなった三國と酔いつぶれた父親が眠りついて静かになった家の中、杉元は自室で――報酬としてもらった世界にたった一つだけのいちご大福を、ゆっくり、そしてたっぷりと堪能した。
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