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とは言ってみるものの、厄介払いできそうで良かったと安堵のため息。でも、ちょっぴり残念なのも事実。
「あ、そうそう。明日の四人会は来れますよね? あそこのお店、人数変更できないらしんですよ。融通効かないですよねー」
四人会ってのは、その名の通り同僚で仲がいい女の子で四人でやってる飲み会のこと。いわゆる女子会ってやつね。
去年のプロジェクトでたまたま一緒に飲んだのがきっかけで、それからは美味しい食事を味わうのと愚痴を言い合う場として隔週でやってたのがもうすぐ二年目に入ろうかというぐらい続いてるの。
普通こういうのって四、五回やって飽きるのがパターンなんだけど、みんなほぼ同い年で共通の話題もたくさんあるし――おでかけも兼ねててけっこう楽しいせいか長続きしてるのよね。
「ま、どうせ悪化はしないだろうし、明日我慢すればまた休みだしね。七時からだっけ?」
「そうですー。お店はメールにURLがあるので見てください」とベッドから降りてバッグを手にする芽衣子。「それじゃひよりさん、お大事にしてくださいね。失礼しましたー」
「また明日ー」
見送りもせずにドアがバタンと閉まった音を聞いて、あたしはベッドに横たわり体を投げ出した。
そしてまたくしゃみが一発。本当に風邪かも知れない。認めたくないけど。風邪って鼻水と咳が出て熱が上がるんだっけ? 病院で診察受けたほうがいいのかな?
歯医者はたまに行くけど、総合病院ってホントに初めてでちょっとビビってるのよね。年に一回の健康診断も会社の医務室でやってるから、病院は静かで暗くてじめじめしてる大きな施設ぐらいのイメージしかなくて、雰囲気だけで怖くなってくるし──嫌だわ。
あーどうしようとか思ってたら、体がベッドに沈んでいく感じがちょっと気持ちよくなってきた。
静かだ。ホントだったら、ちょっと無理してでも出かけたほうが気が紛れるのよね。
そう、最近はちょっぴり寂しくなってきたあたし。
今までは休みになったら適当に友達と電話したり遊びに行ったりしてたんだけど、ここ五年前ぐらいから結婚ラッシュで――早いところだと二人目の子供ができて家庭に仕事に大忙しな感じで連絡も取りづらくなっちゃって。
休日に一緒に過ごす人が少なくなってきて、気がつけば一人ぽっちになってたわけよ。
ぐったりしてる休日なんて、それこそ一日中誰とも話さない日があったりね。
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