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下から見上げたアキさんはいつもの優しい微笑みに戻っている
「ゆず………」
囁かれる優しい声にピクリと心臓が跳ね上がる
ゆっくりとこちらへと伸ばされる手が
甘い感覚を呼び起こし頬を紅潮させた
「………お手」
アキさんの口から出た『お手』の言葉に反応し手を差し出す
アキさんの手のひらにチョンと自分の手を乗せ首を捻り
先ほどまで何か起こるのではと思っていた自分が恥ずかしくなりさらに顔を紅潮させた
それを見てクスリと笑いを漏らすアキさんは
自分の手に乗せられた私の手を軽く掴む
そして反対の手がスーッと私の指を滑った
かぶさったアキさんの手が外され
私は自分の手を眺めた
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