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「…………」
私は言葉を失い酸素不足の金魚のようにパクパクと
懸命に言葉を探した
「クククッ ゆず……なんて顔してるんだ?」
「や…だ…だって………」
アキさんは笑いをこらえ私をしっかりと見据えた
そして私の手の先をキュッと握る
「ゆず、俺たちの出逢ったこの場所から
今度はふたりで歩んでいかないか?」
思いもしなかった場所で
思いもしなかった言葉
そして私の指に光る指輪
私は訳も分からずあふれ出す涙をそのままに
コクリと頷き笑顔を作った
両手をアキさんに伸ばすとアキさんの胸へと飛び込む
「ありがとう」
アキさんの胸の中で私はそう囁いた
Fin...
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