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……全く変わってない。
ぶっちゃけ、ここまで変わっていないとは思っていなかった。
四年もあれば、もっと変化があってもいいはずだろう。
四年か。
ぼくは変わったのだろうか――変わってないな。
あの頃から一歩も成長していないだろうことは明白だ。
それを考えれば、変化のない地元とは相性がいい。
ぼくの心が意外にも落ち着いているのは、そういう理屈なのかもしれない。
目的地が近づくに連れて緊張するものだと覚悟していた。
よくよく考えてみれば、なぜ緊張するのかよく分からない。
ぼくにとって、あの場所は特別なものだったのだろうか。
それとも、あの空気が特別なものだったのだろうか。
もしくは、あの女の子が特別だったのだろうか。
全部かもしれない。
多分、あの空間が特別だったんだろう。
ぼくはどうしてそこに足を向かわせているのだろうという疑問も、それが答えとなりそうだ。
いや、もっとノスタルジックな話なのかもしれない。
小学生時代を過ごした懐かしい空間に浸ってみたいとか。
まあ、既に充分ノスタルジーなんだけど。
この道を通って学校に行ったな、とか、ここでこんなことをしたな、とか。
ここは、そういうなんでもない記憶をどうしようもなく美化して想起させてくれる。
本当はもっとつまらなかったはずだ。
なにせぼくは人と会話するのが苦手だった。
なにか言われてもなんて返せばいいのか分からないのだ。
当然、なんて話しかければいいのかも分からない。
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