第1章

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 「君、学問課が忙しくて手が足りないらしい。手伝いに行ってくれ。いいか、学問課の申請受理は慎重にするんだぞ。申請に来ない人の方がふさわしい場合が多いからな。それに一度にたくさんの申請を出す者もいる。他の所へも申請している者もいるからな 」  「はい。よく見極めたいと思います 」  そう言って私は学問課へ向かう。  この様に寝る間もなく忙しいのは三日間で、徐々に申請者は少なくなる。そして、極たまに、申請が受理された者がお礼にやってくるのだ。その時はとても嬉しいものだ。 私はまだ見習いの神だ。 この神社に務めて二年目。日々、色々なお願いをしに人々がやってくる。その願いが順当なものか見極める事も神としての力量が問われるのである。  新年を迎え、なるべく多くの申請……願いを聞いてあげたいものだと思う。そう、「大病を患った母」を思う息子の願いを受理したように……。              完
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