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「ひかる? どうしたの? 病気でもしたの?」
「ああ、エリ久しぶりね。実は最近眠れなくてね」
「えっ! そ、そうなの?」
「うん。海の夢を見るのよ」
「そ、そうなんだ。お大事にね」
私はそれ以上は聞かなかった。だって彼女から潮の匂いがしたからだ。
私の家に漂っていた匂いだった。
きっと、彼女の家にはあの香水瓶と貝殻があるのだろう。少し潮騒が聞こえた気がして寒気がした。
完
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