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雨の降りしきる小屋の窓から外を見る。
明日の朝までは強い雨は止む事が無いらしい。
周りに立てられている廃車のタワーにも容赦なく降り注いでいる。
「今頃奈々は四天王とやらとバトルか」
こんな雨の中でも走るのだから走り屋とは本当に馬鹿で命知らずな者達だ。
走り屋達には求めている。こんな雨の中でだって....『何か』を。だから走ってしまうのだ。
「奈々が負けた時は雨。だからこそ奈々は今日...大雨の日をバトルの日に選んだらしい」
負けた時は条件があまりにも悪すぎた。
ならば少しでもその差を無くす為にドライ時にバトルを挑むのはおかしくない。
しかしまたレインバトルをすると言うのだ。無謀にも程がある。
4WD相手に、それを狂いなく操るドライバー相手に彼女は挑んでいる。
「これで勝ってこそ奈々だけのセブンと、本当の意味で共に進める...らしい。律儀なこった」
不利の塊に自分から突っ込んで行った。だが今回の奈々には勝算がある、以前とは別の自信もある。
それと同時に試したいのだ自分とセブンを。
追い詰められてこそ奈々は進化する。玄武の時もそうだった。
今回の相手も四天王というこれ以上無いほど手強い相手。
相手にとって不足はない、思いっきり全力でぶつけられる。新しいセブンと進化した奈々の実力を。
「この雨でFRは言うまでもなく不利だ。通常ならトラクションが、安定感が不足してどうしようも無いからな」
だが...
「あのセブンは違う。確かに一歩間違えたらトラクションは掛からずスピンは確実だろう。だが今の奈々なら....あのセブンの『ハマレる』ポイントを見つけ出した奈々なら」
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