sp.26『四天王- 白虎-』

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「奈々のセブンは俺が特別に製作したロールケージが入っている。あのボディは剛性が半端じゃねぇ、めちゃくちゃ頑丈に出来ている...が、同時に『動く箱』なんだ」 弔の培った全てをあのセブンにつぎ込んだ。その一つである動くボディ、『XXロールケージ』 走り始めた頃の奈々は必死すぎて恩恵が分からなかった。寧ろガチガチすぎるのが原因で極度のスピンに陥っているとすら思っていた。 だが一度あのセブンの走らせ方を身体で覚えてしまえば4つのサスには確実にトラクションが掛かり、ボディ全体もキッチリと足の動きをインプットして奈々の思い描く動きが出来るようになっている。 そう、例え路面が雨だとしても強力なトラクションをタイヤに伝える。 フェンダー内にもバーを装着し車体全てを取りまとめ情報を逃がさない。 「次にあのセブンの軽量化。奈々からは「出来るだけ軽くして欲しい」と言われた」 パイプ自体も超軽量素材を使用しており、強烈なボディ補強と同時に極力重量を増やしていない。 そしてあらゆる箇所に軽量パーツを使用・除去し劇的な軽量化を行っている。重くなったエンジンを含めて運動性能を向上させる為だ。 だが単純に軽くすれば良い訳ではない、バランスが大事なのだが弔の計算には秘策があった。これは奈々には伝えていなかった物。 「左右リアサスメンバーにウエイトを乗っける。そうすれば奈々の理想のボディになる。あのウエイトは片側で20kg...それが二つって事は合計で40kg増したってわけだ。だが....」 40kgも重量が増えればかなり影響は大きい。だからこそあのセブンは一気に安定感が増したのだ。 最も、安定感が増したとはいえ普通に走らせればあっさりとオーバーステアやスピンの嵐であるのは変わらない。 「セブンの車重はウエイト込みで1030kg。この意味が分かるか奈々?ウエイトを乗せていなかったらそのセブンの車重は1000を切っていたんだぞ、とてつもなく大きな武器の一つだ」 FD3Sとしては圧倒的に軽い車重で突っ込み速度をギリギリまで高めている。 初期制動が強いブレーキ+大幅に増したタイヤキレ角で一気に横を向けてドリフトさせる。 一歩でも間違えたら即オーバーステアを出してしまう恐ろしい『白い合成獣』 そんな『はねっかえり』は今の奈々にしか運転が出来ない。
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