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「…暗い」
気が付くと彼は、見知らぬ暗闇の中に居た。
自分の体すら見えず、光一つ、音一つ存在しない真っ暗な空間。
何故こうなったのだろう、と彼は思考に耽る。
状況を整理するとしよう。
彼は死刑囚であり、執行日に看守を撲殺して脱獄を試み
結果看守の撲殺に成功、その場から離れ換気用のダクトへと入った。
此処まではいい、順調だ。
それから、鉄格子を外しダクトを降りて…
視界が真っ赤に染まった。
要するにこれは…
「あぁ、俺は死んだのか」
「ご名答」
低く地の底から唸るような声がした方向に目を向けると、何とも言えない異形のモノが其処にいた。
「こんにちは、死神です」
…羊人間、と言った方がいいのだろうか。
とにかくそう言った容姿のそれは、自分を「死神」と名乗った。
その手には死神の特徴とも言える、黒光りする大鎌が握られている。
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