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…小鳥の囀りが聞こえる。
格子の外を見てみればもう朝のようで、無数の小鳥が羽ばたいているようだ
普通なら気持ちの良い朝だろうが、彼の場合は違う。
何故なら
「…634番、出ろ」
此処は監獄で有り、彼は死刑囚だからだ。
しかも、どうやら今日は死刑の執行日らしい。
牢獄の監守の顔からして何となく察してはいたが、やはりそろそろ年貢の収め時なのだろうか
そんな事を考えながら、鍵を持った看守が鉄格子の扉を開けるのを待つ。
「…よし、来い」
そう言われ外に出ると彼は
「…何、やめっ」
隠し持っていた拳サイズの石で思い切り看守の頭を殴りつけた。
飛び散る血飛沫、倒れる看守、血まみれになった鍵。
そんな景色をよそ目に、彼は出口へと走った。
警報や増援の看守の声を無視して、ただひたすらと。
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