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「…此処を、抜ければ」
目的地に着いた彼は、弾む息を抑えつつ脱出ルートを確認する
どうやら、ダクトを通り抜けて外に出るつもりらしい。
「何処に行った!」「逃がすな!」
そんな声を尻目に、彼はダクトの蓋を外し身体を捩じ込む。
貧相な食事と運動が幸いしたのか、やせ細った身体はすんなりとダクトの入口を通ったようだ
埃だらけのダクトを匍匐全身で少しずつ進む。
時折存在している鉄格子からは、鬼の形相で自分を探している看守達が見える。
暫く進むと、出口らしき物が見えた
鉄格子から様子を見てみたが、どうやら人はいないらしい。
ここを抜ければ非常口の様な通路に着く筈であり、其処に存在しているマンホールから脱出するのが今回の作戦だ。
「…よっ、と」
そう信じ鉄格子を外し、外に出る
地に降りたその瞬間。
目の前に赤の閃光が走る。
気付いた時には、彼の視界はブラックアウトしていて
その場に残ったのは、横たわる彼と血だまりだけだった。
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