第一章 「テンプレ?何それ不味そう」

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「…此処を、抜ければ」 目的地に着いた彼は、弾む息を抑えつつ脱出ルートを確認する どうやら、ダクトを通り抜けて外に出るつもりらしい。 「何処に行った!」「逃がすな!」 そんな声を尻目に、彼はダクトの蓋を外し身体を捩じ込む。 貧相な食事と運動が幸いしたのか、やせ細った身体はすんなりとダクトの入口を通ったようだ 埃だらけのダクトを匍匐全身で少しずつ進む。 時折存在している鉄格子からは、鬼の形相で自分を探している看守達が見える。 暫く進むと、出口らしき物が見えた 鉄格子から様子を見てみたが、どうやら人はいないらしい。 ここを抜ければ非常口の様な通路に着く筈であり、其処に存在しているマンホールから脱出するのが今回の作戦だ。 「…よっ、と」 そう信じ鉄格子を外し、外に出る 地に降りたその瞬間。 目の前に赤の閃光が走る。 気付いた時には、彼の視界はブラックアウトしていて その場に残ったのは、横たわる彼と血だまりだけだった。
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