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ひどい雨・・・
会社の帰り、夕立にやられた。
咄嗟に駆け込んだのは屋根つきのバス停。
「タオル、貸しましょうか?」
びっくりした。
誰もいないと思ってたのに。
女の子は視線を本に残したままそう言った。
「あ、大丈夫。ありがとう」
「タオル借りたら洗って返さなきゃいけないし。また会えるかどうかなんて分かんないし」
・・・何でこの子・・・
「何でこの子、俺の思ってること」
彼女は俺の心を読んだ、とでも言うのだろうか。
「あの・・・」
「人の心を知ることは、思ったより簡単でその心の中は思ったよりも冷たい。それは私が今日まで生きて分かったこと」
そこまで言って、彼女はやっと顔を上げた。
「他人の心が分かってしまう女の子の話です」
・・・何だ、本の話か。びっくりした・・・。
その時丁度雨が弱まった。
俺は今の内だと駆け出した。
「何だ、本の話か」
彼女の声は、どんより曇った空に溶けた。
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