抑制 #2

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今度は缶ビールを冷蔵庫から取りだし、渇いた喉にそれを一気に流し込む 弓槻にはまたミネラルウォーター、といっても、気持ちよさそうに寝息をたてているからサイドテーブルにそれを置くと、俺も布団の中に潜り込んだ 「……せ」 弓槻は、ずるい 寝言で名前を呼ばれたら――嬉しくてはねあがりそうになるのに 「――茉麻」 こんなときにしか、……そう呼べない自分にまた失笑 好きなんだ 初めてお前を見たその時から 恋い焦がれた――その女が 今、俺の腕の中で 俺の名前を寝言に、眠っている
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