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――ーー
夢を見ることさえなく――その眠りの奥底にいたはずなのに
腕の中から弓槻が抜け出そうと目覚めた瞬間。
反射的に、ぎゅっ。と。
腕に力が入る
「……重い」
そう弓槻が呟いて、しまった。と思ってももう遅い
ばつが悪いから返事をしないまま
だまって引き寄せる
「――なんなの」
「うるさい」
――あー、これは、もう
「ねぇ、帰りたい」
やっぱり。
コイツは起きたら毎回この台詞しか言わない
もう少しくらい、割り切り気分を緩めたって構わないのに
「……送る」
「いらない」
仕方なく譲歩した意見すら――拒否される
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