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名残惜しいのは、俺だけ、ね。
マンションを出たら、もう外は明るくて
――夏の朝の匂い
清々しい朝の空気
弓槻をよく見かけたのは――いつもこんな澄みきった空気の降りてる日だったっけ
「……よく」
思わず、そう口にしてしまった
「――え?」
「……いや」
何を、言おうとした?
弓槻といると、記憶がフラッシュバックして――共に共有していたあの時の事が自然と言葉になって出てきそうになる
カツン、と響く弓槻のヒールの音
「……」
チカチカ、する
「ちょっと肌寒いな」
着ていたパーカーのフードをかぶって、俺は煙草を口にくわえた
「スニーカー、はくんだ」
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