喪失 #3

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食いたいもの―― 食いたいもの―― いざ考えると、何もないところには何も閃かないもんだ 「あ」 「なによ」 「食いたいもん」 「……」 「とんかつ」 通りすぎた道路の看板にカツ丼屋が見えただけなんだけどね 「お風呂入ったのになんで揚げ物なんか作らなきゃいけないの!! 却下!!」 「はぁー、なんで?」 「なんで、って油臭くなるでしょ!!」 「別にいーだろ」 一度食いたいと考えてしまったので、適当に答えたのにもはやめっちゃ食いたい というか、弓槻のナイス発言に、下心が芽生える 「風呂、入ればいいじゃん。一緒に」 油モン、最高 「お弁当屋さんとか、ないの」 「嫌だ。食いあきた」 それじゃ、本末転倒じゃねーか。と、必死に食い下がる。 いや、実際食いあきたんだ本当に でもそもそも、そういう話じゃない 弓槻の飯が食いたい
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