喪失 #3

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もう、いいんじゃないか 俺の心の奥底で、そう黒い思考が顔を出す 居なくなった松岡さんに義理立てすることの意味の有無を何度も――何度も問いただす そうだ そんなこと、何度も考えた 「風呂入ったの?」 今は俺の腕の中にいる弓槻 薫る、甘い――弓槻の香り 「……う、うん、見たらわかるでしょ」 「いい匂いすんな」 さらに弓槻の身体を引き寄せて、髪に顔を埋めた クラクラする この香りに包まれていると――現実なんて全てどうだってよくなる
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