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最初はただ、――知りもしないうちから気になる存在で
弓槻の姿が頭から離れないのが不思議だった
無関係だったあの頃が幻に思えるほど――今は、弓槻が身近で
俺の生活の中に、いる
「一人で笑ってればいーわよ」
そう言う弓槻の顔は赤く火照っていて
勘違いしそうに、なる
くるりと踵を返したその後ろ髪に引かれそうになって伸ばした手を引っ込めた
この状態じゃ、取り返しのつかないことを口走りそうだ
台所に向かって換気扇の下でタバコに火をつける。
冷静になろうとしているのに、目の前では弓槻が堂々と着替えを始めたもんだから目線を携帯にずらした
我慢、してるって、全然わかってない
「出れんの?」
いてもたってもいられなくて、着替えが終わった瞬間、そう声をかけた
「うん」
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