喪失 #3

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この、――小悪魔。 思わず唇に吸い寄せられそうになった、その瞬間 「明日、仲里専務のお嬢さん、空港にくるの?」 「そりゃあ、来んだろ」 「……」 雰囲気も、何もかもぶっ壊して、まさかの仕事の話 こいつの頭の中、仕事しかねーの? 「なんで?」 そうこうしている間にエレベーターは到着 仕方なく、どうだっていい会話に合わせる 「現地アテンド、彼女が住んでた事ある、って」 「へえ、ドイツに?」 「そ、赤石さんとも視察。何回も行ってくれてたからな」 「へー」 そこで赤石に食われてこんなことになってんだけどな 「内定、決まってっし」 「あのお嬢サマ?」 「そゆこと」 「お前んとこで」 「ん、ふあ?」 「降りろよ」
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