喪失 #3

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「ええええ!!」 叫んだ声が地下のコンクリートの壁に反響 「うるせーな」 「なんで、ウチなのよ」 「……」 「あ、そっか。そっちじゃ色々都合悪いもんね」 「まーな」 事態は色々と悪化していて、赤石のいるうちの部署なんて御法度、ましてや赤石を異動させても今度は婚約解消した俺がいる 山崎さんが事情を知って、そっちで引き取るなんて言ってたけど――そもそも今となっては入社すら危うい 全ては取り越し苦労になりそうだし、今はそんなことどうだっていい 無事に――出張さえ終われば。 なかなか動こうとしない弓槻の手をひいて、助手席まで連れてドアを開けた 今度は静かに車に乗り込む 「……」
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