喪失 #3

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車に乗り込んだ弓槻が、首をひねる 「――ねぇ」 「ん」 「なんか、匂わない」 「……ああ」 なんだ、香水のことか 「嫌なんだろ?あの匂い」 「どうやったの……?」 「は?窓開けっぱにしといただけだけど?」 「防犯防犯、こんな高級車窓開けっぱとか危険でしょ!!」 「そんときゃそん時だろ」 女の気にするポイントがイマイチわからない 「会社の駐車場だし、んな心配いらねーよ」 「そうだけど」 そう言いつつも、機嫌はいいのか言葉尻が柔らかい 「あー、なぁ」 「何よ」 「……腹減った」 「えー、私もう食べたけど! 食べてから来なさいよ」 「一人で食ったら味気ねーじゃん」 弓槻と食べる飯はなんだか旨くて、実は今日ずっとそれが楽しみでもあったから 「お腹わりといっぱいなんだけど」 「じゃあ、簡単でいいから何か作って」 そう言われても、決めてた言葉。いや、むしろこれが第一希望 「なんで私がつくんのよ」
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