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車に乗り込んだ弓槻が、首をひねる
「――ねぇ」
「ん」
「なんか、匂わない」
「……ああ」
なんだ、香水のことか
「嫌なんだろ?あの匂い」
「どうやったの……?」
「は?窓開けっぱにしといただけだけど?」
「防犯防犯、こんな高級車窓開けっぱとか危険でしょ!!」
「そんときゃそん時だろ」
女の気にするポイントがイマイチわからない
「会社の駐車場だし、んな心配いらねーよ」
「そうだけど」
そう言いつつも、機嫌はいいのか言葉尻が柔らかい
「あー、なぁ」
「何よ」
「……腹減った」
「えー、私もう食べたけど! 食べてから来なさいよ」
「一人で食ったら味気ねーじゃん」
弓槻と食べる飯はなんだか旨くて、実は今日ずっとそれが楽しみでもあったから
「お腹わりといっぱいなんだけど」
「じゃあ、簡単でいいから何か作って」
そう言われても、決めてた言葉。いや、むしろこれが第一希望
「なんで私がつくんのよ」
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