喪失 #3

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そんなもの、遠い昔の話で もう、自分の中では消化しきっていたと思っていたのに 自分の口からその過去を吐いて、やっと その傷口がふさがってなかったことに、気が付いた そう、俺になんか常に余裕がなくて いつも自分のことばかりで 全然、弓槻のことなんてわかってやることが、出来てなかった 「そう」 「んで?これいーの?半分色変わってるけど」 「あ、返していい」 「うい」 「もう、シャツに油とぶよ」 弓槻はそう言って、俺の袖口の釦を外して三回折り曲げる
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